参鶏湯風鶏とネギのスープ 鈴木アキラ レシピ監修

春間近。とはいえ、まだまだ寒い日も続く今日この頃。体が中から温まるスープはいかがだろうか。今回は鶏を1羽丸ごと使ったスープを紹介しよう。
鶏を丸ごと使うスープで最も有名なのが韓国の参鶏湯(サムゲタン)。鶏のお腹の中にモチ米、高麗人参ほかナツメ、クリなど薬効の高い素材を詰め込んで、土鍋や石鍋で半日近い時間をかけて煮込む宮廷発祥の高級料理だ。
キムチ、焼き肉、チゲと並んで日本でも知られた料理だが、前述の3つと比較して参鶏湯を実際に食べたことのあるという人は、それほど多くないのではないだろうか。僕もソウルで1度食べたきりだ。韓国料理の中ではトップクラスの高価な料理だからだ。グラグラに煮立てた状態で出され、舌が焼けるほどのアツアツを食べるのが正式だが、本来は夏に暑気払いのために食べるモノらしい。
そしてもうひとつ、日本ではあまり知られていないけれどフランスのココ・リーキ。鶏1羽とぶつ切りにしたリーキ(下仁田ネギに似たぶっといネギ)を鍋に入れて、長時間煮込み、岩塩で味付けただけの田舎料理だ。僕は冬、太くて甘いネギが手に入る時期に、時々このココ・リーキを作る。
素材が何か分からなくなるほど手をかけて、これまたどうやって作ったのか分からないほど複雑なソースをかけて食べるタイプのフランス料理とは正反対の、笑っちゃうくらいシンプル極まりない料理なのだが、鶏とネギの旨味が溶け合って抜群にウマイ(手の込んだフランス料理よりもポトフやラタトゥイユ、ブイヤベースのような田舎料理の方に、ウマイものが多いように感じるのは僕だけだろうか)。余ったら麺をゆがいて入れれば、これまた抜群にウマイラーメンができる。
今回作っているのはこの参鶏湯とココ・リーキのミックスだ。どちらも長い時間をかけて煮込む料理だが(レストランでは調理時間短縮のために圧力鍋を使うほど)、ダッチオーヴンを使えば、2~3時間ほどで肉が骨からホロホロ簡単に外れ、軟骨がかみ砕けるほど柔らかく煮込むことができる。蓄熱性の高い鋳鉄製の素材と圧力効果の高い重いフタのなせるワザ、まさにダッチオーヴンマジックだ。今回は予算の関係上、残念ながら高麗人参は使っていない。使いたい人は漢方薬を扱っている薬局で手に入れるといいだろう。
鶏を丸ごと使ったスープ、迫力満点でギャラリー受けが良いだけでなく、コラーゲンたっぷりで美肌効果も満点。女性にもオススメだ。
材料
・鶏:1羽
・長ネギ(下仁田ネギのように太いもの):10本
・ショウガ:2個
・モチ米:300cc(シェラカップ約1杯分)
・松の実:100cc
・クコの実:100cc
・干しエビ:200cc
・タカノツメ:3本
・八角:1個
・塩:少々
・ツマヨウジ:3~4本
作り方
・モチ米は軽く水で洗ってから水に30分ほど浸しておく
・鶏はお腹の中を流水でよく洗っておく
・タカノツメは割って種を取りだしておく(激辛が好きな人は種も一緒に入れる)
・八角はミルや石臼、すり鉢などで細かく砕いておく
1)鶏の首側の皮をツマヨウジで縫い合わせて詰め物が出ないようにしておく。鶏の皮は丈夫なので、これが意外と難しい
2)水に浸して置いたモチ米と松の実、クコの実、干しエビ、タカノツメ(半量)、八角(半量)を混ぜ合わせる
3)鶏のお腹の中に2を詰め込む。スプーンで押し込んでキッチリ詰めること。残った分は煮込む際に水と一緒にダッチオーヴンに入れる
4)1と同様にお尻も縫い合わせて、煮ている間に詰め物が出ないようにする。指を刺さないように注意のこと
5)ダッチオーヴンに入れる。肝心なのは鶏とダッチオーブンのサイズ。入れてみたら入らない。入るには入るがフタが閉まらないでは話にならない
6)ネギを食べやすい長さ(7~10cm)にぶつ切りにして、鶏の周りすべてを埋めていく。結構な量を使うのでビックリするが、煮えるとかさはグンと減る
7)タカノツメと八角の残り、細切りにしたショウガ、3)で鶏のお腹に入りきれなかった詰め物のモチ米を加える
8)鶏が隠れるくらいまで水を入れ、フタをして火にかける。最初は中火。いったん煮立ったらあとは最後まで弱火
9)鶏を箸で触ってみて肉が簡単にはがれるようになったら出来上がり
10)好みで塩を足したりトウガラシを振ったりして食べる。アツアツのうちにどうぞ
ワンポイント

・手に入った鶏の大きさで使うダッチオーヴンのサイズを決める。もしくはダッチオーヴンのサイズをきちんと計ってから、それに入る鶏を買いに行く。今回は大振りの地鶏が手に入ったので12インチディープを使ったが、冷凍で売っている小振りの鶏なら10インチディープでもいいだろう
・満水近くまで水を入れると煮立てた時に吹きこぼれやすい。しかも鶏は意外と厚みがある。 ディープタイプのダッチオーヴンがオススメなのはそのため
・ツーバーナーで作る際には、吹きこぼれや風による火の立ち消えに注意。ダッチオーヴンは重量があるので台はしっかりしたモノを使うこと。傾斜にも注意
・シンプルな塩味なので、ラー油やコチュジャン、ポン酢醤油などで味付けして食べてもウマイ。僕はキムチをつまみながら食べるのが好きだ
・鶏をほぐしてからはお腹の中に詰めたモチ米のせいでとろみが出て焦げ付きやすくなる。弱火で温め、鍋底の焦げ付きを時々チェックのこと
・参鶏湯に使う高麗人参は普通のスーパーでは売っていない。韓国食材の専門店、もしくは漢方薬を扱う薬局で入手するといい。干しナツメや八角、クコの実などもここで手に入る
・鶏の骨は折れると斜めに割れ、先端がナイフのように鋭くなるのでペットの犬や猫にはあげないこと

レシピ監修

鈴木アキラ

アウトドアライター。アウトドア雑誌やキャンピングカー雑誌、自動車雑誌等に寄稿。特に野外料理系の仕事が多い。アウトドアイベントの講師をはじめ、テレビやラジオの仕事も多く、ラジオ番組「電話子供相談室」の回答者にもなったりもするが、家にはテレビがない生活。
青森育ちでネイティブに東北弁を使いこなすほか、沖縄好きが高じてウチナーグチ(沖縄方言)もオバアと会話できるほどに。田舎のオバアチャンたちに郷土料理の作り方を教わるのが大好き。
「野外料理超簡単レシピ555」「キャンプで活躍! ナイフ・ナタ・斧の使い方」「これだけは知っておきたい サバイバル術食入門」「燻製&保存食作り入門」(いずれも山と渓谷社)など著書多数

今回使用した製品
  • キャンプオーヴン 12インチ Deep

    キャンプ用の脚付きのダッチオーヴンです。フタには炭を乗せられるようにふちが付いていてローストビーフやデザートの上火調整も可能です。12インチモデルより少し深くなってます。

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