フィッシュ&チップス 鈴木アキラ レシピ監修

日本に輸入されているロッジ社のダッチオーヴンのほとんどは「ロッジロジック」と呼ばれる食用油による焼き付け加工が施されていて、面倒なシーズニングの手間がいらないとされているが、僕がオススメしたいのはこのロッジロジックの効果をさらに高める方法だ。

それは「ホーロー加工の施されていない鋳鉄製品の使い始めは、揚げ物を頻繁に行なうべきである」ということだ。鋳鉄製品というのは鉄でできたスポンジのようなもので、微細な穴がたくさん開いている。この穴の中に油を染み込ませていくことで、焦げ付きや錆びを抑えていくのがシーズニングの重要な工程のひとつである「油を塗っては焼く、を繰り返す」で、これは繰り返し行なえば行なうほどいい。揚げ物は油を使う料理だから鉄の内部まで油を浸透させることができシーズニングにはもってこいなのだ。
また家庭での揚げ物は油の匂いに酔ってしまうだけでなく、部屋中油臭くなってしまう。「揚げ物こそ野外で!」とオススメしたい理由はたくさんあるのだ。

フィッシュ&チップスはイギリスのパブ料理の典型で、「美味しいものがない」「美味しいものを食べたかったら朝昼晩とも朝食を食え」とまで言われるイギリス料理の中で、ローストビーフと並んで「うまい!(もしくは、まあまあ食える)」と思えるもののひとつだ。フィッシュフライはタラで作ることが多いのだが、他の白身魚やサケなどでもかまわない。衣を溶かすのにビールを使うのだが、余った分は当然飲む。飲みながら料理を作るのは最高に楽しい。これもこの料理が僕の大好きな理由でもある。チップスはつまりフライドポテトのことだが、これもハンバーガーショップで売っているもの(マッシュポテトを増粘剤で固め、成形したものがほとんど)とは全く別物だ。ジャガイモの種類によって食感も違うので、色々揚げて食べ比べをするのも楽しい。
材料
・生タラ300g
・塩小さじ2
・薄力粉100g
・片栗粉100g
・ベーキングパウダー小さじ1
・ビール200ml
・サラダオイル2ℓ
・ジャガイモ4個
・ウスターソース
・ワインビネガー
・ケチャップ
・塩
・ブラックペッパー
作り方
1. ジャガイモはよく洗って芽を取る。皮は剥かない。
2. ジャガイモを6等分のくし切りにして、水を張ったボウルで約30分水でさらし、水気を切ってから、キッチンペーパーで水気を拭き取る。
3. タラは皮と骨を取る。
4. 食べやすいサイズに切り、塩とブラックペッパーを軽く振る。
5. 薄力粉(分量外)をまぶす。
6. ボウルに薄力粉、片栗粉、ベーキングパウダーを入れて混ぜ合わせる。
7. ビールを少しずつ注いで混ぜ、衣生地を作る。余ったビールは当然その場で飲む。
8. 油を180度C(中温度)に熱しておき、ジャガイモをこんがりと色付くまで7~8分程度素揚げにする。
9. タラに衣をつけ、180度Cの油で揚げる。
10. 浮き上がって色よく揚がったら、油を切る。アツアツのうちに好みの味付けで食べる。
たっぷり使った油は漉して次回また使ってもいいが、廃棄用の油凝固剤(固めるテンプル、など)を規定量の4倍ほど使ってしっかり固めるとキャンドルにすることもできる(固めた油は熱すると再び液体になる)。
空き瓶、空き缶などに、タコ糸などを芯にして、固まる前の油を流し込んで、しばらくおけば出来上がりだ。キャンプテーブルを飾る道具としてリサイクルできる。
ワンポイント

【POINT】
・油の温度(180度C)の目安は、生地を入れたら中ほどまで沈んで、すぐ浮き上がってくるくらいの温度。菜箸を入れたら箸全体から絶え間なく泡が上がってくる状態。生地を入れてすぐに浮き上がって色付くようでは温度が高すぎる。
・ジャガイモは種類の違いで水分量が違って、結果ホクホク感も違う。好きな種類を探すのも楽しい。
・フィッシュフライの衣は作る人によって材料がずいぶん異なる。ビールもそれぞれ好みがあるし、粉チーズを混ぜるという人、ハーブミックスを混ぜるといいという人、様々いる。色々試して各自のオリジナルを見つけて欲しい。
・餃子好きなら、醤油、酢、ラー油の定番ブレンドではなく、酢とコショウで食べてみて欲しいと言われることが多いが、フィッシュフライも同様。ウスターソースをかける前に酢とコショウで試して欲しい。酢はワインビネガーかアップルビネガーがオススメ。フライドポテトは塩&ブラックペッパー、ケチャップなどで食べるのがオススメ。
・油の凝固剤は油がまだ熱いうちに投入して撹拌する。

レシピ監修

鈴木アキラ

世界各地のおばあちゃんから、地元料理の作り方を教えてもらうのが大好きなアウトドアライター。
小学校低学年の頃から、タマネギを刻んでパスタソースを作るような凝り性であったが、今はとにかく「わかりやすい分量で、簡単に作れて美味いもの」しか、作りたくない野外料理人。
さらに「飲みながら作る料理が最高!」と思っている。「アウトドアで活躍! ナイフ・ナタ・斧の使い方」(山と渓谷社)をはじめとして、野外料理の著書も多数。

撮影
笠原 修一

今回使用した製品
  • ダブルダッチオーヴン 10 1/4インチ

    キッチンで使いやすい脚が付いていないタイプです。フタも深型なのでひっくり返してフライパンとしても使用できます。ロッジ社の多年にわたる研究により、すぐに使える慣らし済みダッチオーヴン「ロッジロジック」長年使い込んだもののように表面がコーティングされ風格ある製品に仕上がっています。カバーは スキレット 10 1/4インチと共用が可能です。

    商品情報はこちら