マルゲリータ・クアトロフォルマッジョ 鈴木アキラ レシピ監修

ピザが嫌いな人という人にあまり会ったことがない。体重計の数字を気にしている若い女の子でも現物を目の前にすると「ダイエットは明日から」とか「私、好き嫌いはしないの」とか言ってパクパク食べる。もちろん僕もピザは大好きだ。
ピザには厚手の生地と薄手の生地があってどちらもそれぞれおいしいのだが、僕はどちらかというとパリパリの薄い生地の方が好きだ。
理由は「数が食べられるから」だ。ピザはもちろん生地も大切なのだが、それよりも上に乗った様々な具(具単体では溶けたチーズなどで非常に食べづらい)を食べやすくするために生地(台)があるように思えてならない。そんな風に考えるのは僕だけだろうか。
今回はこのピザをスキレットで作っている。スキレットは鋳鉄製のフライパンで、アメリカではスーパーに普通に売っている極めてメジャーな調理道具だ。メジャーな道具だから様々なアメリカ映画の調理シーンに登場している。映画好きならチェックしてみるといい。最も多く作られているのは目玉焼きだ(スキレットを使うと絵に描いたような、本当にきれいな目玉焼きができる)。しかし、僕が最も印象的に覚えているのは「バットマン・リターンズ(監督はティム・バートン)」だ。後でキャットウーマンになる冴えない女性秘書(ミシェル・ファイファー)が会社でいじめられてブチ切れ、家の中をメチャクチャにするシーンで、手に握られているのが鋳鉄製のスキレット。夫婦ゲンカをしたときに奥さんが鋳鉄製のスキレットを持っていたら、さぞ怖いだろうなとしみじみ思った。
話が逸れた。料理の話に戻そう。この鋳鉄製のスキレットにはダッチオーヴン同様の鋳鉄製のカバー(フタ)が用意されていて、これを使うことで料理の幅がぐんと広がる(フタが重いから蒸し料理にも最適でスキレットとスキレットカバーを使って焼き上げた餃子は絶品だ)。
スキレットカバーにもキャンプダッチオーヴンのような縁の立ち上がりがあれば、上下から熱してオーヴン状態にできるのに、と思っていた僕はある日いいことを思いついた。それが今回紹介している中華鍋用のゴトクを縁の立ち上がりとして使用する方法だ。
中華鍋は底が丸いから普通の家庭用グリルでは安定性に欠ける。これを補うための道具として鉄製でリング状のゴトクが売られている(中華鍋を扱っている店ならたいていある)。自分の持っているスキレットより一回り小さいサイズのものを買ってカバーの上に乗せるだけ。これでキャンプダッチオーヴンと同じ、上下から熱するオーヴン料理が可能になる。
さらにピザの場合、キャンプダッチオーヴンで作ると底深くにピザがあるため取り出しにくいし、フタとの距離もあるから上下の熱の管理が結構難しい。スキレット+スキレットカバー+中華鍋ゴトクの組み合わせで作ると、フタの上からの熱が伝わりやすいのですぐに焼き上がる。おまけに下からの熱源は炭ではなくバーナーを使えば調整も簡単。いいことずくめなのだ。
ピザには実に様々な具のレシピがある。デリバリーのピザなどは和風レシピもあって本当に目移りしてしまう(本場のイタリア人が見たらきっとビックリするだろう)。でも、僕はやっぱりシンプルなピザが好きだ。その典型がチーズ、トマト、バジルのマルゲリータ(色もイタリアンカラーだ)、そして4種類のチーズを使ったクワトロフォルマッジョだ。本来はイタリアのチーズ4種類を使うのが正式なのだろうけれど、今回は1種類だけスイスチーズ(エメンタール)を使っている。青カビのチーズであるゴルゴンゾーラは味、香りに欠かせないとしてもほかの3種類はあまりこだわる必要もないと思う。自分の好みのものを組み合わせて楽しんで欲しい。
材料
【生地】
・強力粉 200g
・薄力粉 100g、塩 小さじ1
・水 150cc
・ドライイースト 小さじ1/2
・オリーブオイル 50cc
※分量外で打ち粉、オリーブオイルを少々用意する
【具】
●マルゲリータ
・ピザ用ミックスチーズ 200g
・トマト 2個
・ニンニク 2かけ
・バジルの葉 8枚
●クワトロフォルマッジョ
・ゴルゴンゾーラ 50g
・エメンタール 50g
モッツァレラ 50g
・パルミジャーノ 50g
コショウ 少々
【その他の道具】
・中華鍋用ゴトク
・のし台(今回は写生用の画板で代用している)
・のし棒(今回は太さの均一なすりこぎで代用。以前、タープのポールを使ったこともある)
作り方
・生地を発酵させている間に炭をおこしておく
1)ボウルに粉と塩を入れ全体を混ぜる
2)ぬるま湯150ccにドライイースト、オリーブオイルの順で加えよく混ぜる
3)くぼませた粉の中心にそそぎ入れて混ぜる
4)最初は生地がベタベタしているが構わず混ぜる
5)ボウルや手に着かなくなってきたら打ち粉をした台に乗せ10分近くしっかりこねる
6)ボウルに戻しラップフィルムをかけて2倍の大きさになるまで発酵させる。
7)生地が発酵したら台に乗せ4等分に切り分けて丸め、さらに10分ほど置き、直径20cm程度の円形に伸ばす
8)アルミホイル(またはオーブンペーパー)に乗せた生地にオリーブオイルを塗る
9)マルゲリータはチーズを散らし、トマト、バジル、ニンニクを乗せる
10)クワトロフォルマッジョは4種類のチーズを乗せる
11)スキレットに入れ5~10分焼く。スキレットカバーの上には中華鍋用のゴトクを乗せ、炭を乗せる
ワンポイント

・外気温が低いときには発酵が進みにくい。お湯を張ったクッカーの上にボウルを乗せて下から温めるといい。携帯用カイロの上にボウルを乗せ、全体をタオルでくるむのも手。
・人数が多いときには様々な具を用意すると楽しい。
・生地が余ってしまった時には円形に伸ばして打ち粉をしてから冷凍しておくといい。
・逆に具がなくなってしまった時のために、いいオリーブオイルといい塩を用意しておこう。おいしい御飯はそのままで食べられるようにいい生地は、オリーブオイルと塩だけで十分うまい。
・焚き火があるときには熾きの上に置いて、上から薪を乗せて熱するといい(「ねっする」といってもインスタントコーヒーではない。念のため)

レシピ監修

鈴木アキラ

アウトドアライター。アウトドア雑誌やキャンピングカー雑誌、自動車雑誌等に寄稿。特に野外料理系の仕事が多い。アウトドアイベントの講師をはじめ、テレビやラジオの仕事も多く、ラジオ番組「電話子供相談室」の回答者にもなったりもするが、家にはテレビがない生活。
青森育ちでネイティブに東北弁を使いこなすほか、沖縄好きが高じてウチナーグチ(沖縄方言)もオバアと会話できるほどに。田舎のオバアチャンたちに郷土料理の作り方を教わるのが大好き。
「野外料理超簡単レシピ555」「キャンプで活躍! ナイフ・ナタ・斧の使い方」「これだけは知っておきたい サバイバル術食入門」「燻製&保存食作り入門」(いずれも山と渓谷社)など著書多数

今回使用した製品
  • スキレット 10 1/4インチ

    10 1/4インチ(10.5インチ/外径26cm)の スキレット です。一般に販売されている鉄製のフライパンと違って、 スキレット は厚みがあるのでバラエティに富んだ焼き料理が可能です。使うほどに手入れが簡単になるので、家庭でも毎日使えます。 ※両手で持てるハンドル付き。

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