山のパエリア 鈴木アキラ レシピ監修

スペインの炊き込みご飯、パエリヤ。エビやムール貝などの魚介類を使ったものが有名だが、あれは海沿いの地方のパエリヤだ。スペインにはアンダルシア地方のような内陸部や山岳地域もあり、それぞれ、その土地の食材を使ったパエリヤが作られている。海には海のパエリヤが、山には山のパエリヤがあるというワケだ。
山のパエリヤに使われるのはソーセージやベーコン、そしてその土地で捕れる鳥や獣の肉だ。
スペインの山岳部で最も多く使われているのはウサギの肉なのだが、いかんせん現在の日本にはウサギを食べる習慣がないから、肉も手に入りにくい。今回は鶏肉で代用している。「あの食材がないからできない」ではなくて、その地域でその時期に手に入るベストな食材を使えばそれでいいというのは、かなりキャンプ向きのメニューであると言える。
パエリヤと日本の炊き込みご飯の決定的な違いは、パエリヤは最初に米を油で炒めてから炊くということだ(リゾットも同様)。そして炊くときも通常フタをしない(だからパエリヤパンにはフタがない)。そして、中心に多少芯が残る、パスタで言うところのアルデンテに仕上げるのが良いとされる。ふっくら炊きあがったご飯が最良とされる日本とはちょっと違う。
そして、パエリヤは基本的には男性が作る料理ということになっている。というのも、パエリヤという言葉自体が英語で言うと「for her」彼女のために、という意味が元になった言葉だからだ。つまり、感謝祭や謝肉祭などのお祭りなどの時に「どら、今日は普段料理をしてくれてるオメーのためにオレが作ってやっか」的に作った料理がパエリヤなのである。
そういう意味でも、パエリヤはキャンプでオトウサンもしくはカレシが作るメニューとして、まさにこれ以上のものはないと言えるのではないだろうか。今回は炭や豆炭を使わずに野外用のストーブ(コンロ)で調理をしているので、家庭でも同じように作ることができる。
材料
・米:1kg (約7合)
・タマネギ:1個
・粗挽きソーセージ:150~200g
・ベーコン:150~200g
・鶏肉:150~200g
・パプリカ:3個
・ニンニク:1/2個
・パセリ:少々
・レモン:3個
・オリーブオイル:大さじ4
・サフラン:ひとつまみ
・コンソメ:小さじ3
・塩:少々
・ブラックペッパー:少々
作り方
・サフランを水に浸して色出しをしておく。時間がないときにはぬるま湯で。お湯に浸すとせっかくの香りが飛んでしまうので注意。
・米は無洗米ならそのまま。普通の米なら洗って研いでから、ザルなどにあけて乾かしておく。乾燥が不十分だと炒めるときに割れてしまうので注意すること。
・パエリヤ用の肉、ソーセージ、ベーコンはスプーンで食べやすいように細切れにしておく。
1)みじん切りにしたニンニクをオリーブオイルで炒める。火は弱火にして、オイルにじっくり香りをつける。決して焦がさないこと。焦げたニンニクを使うと全体が苦くなってしまう。
2)米を加えて弱火で炒める。米が油を吸って透き通ってくるまで、全体を丁寧に混ぜながら炒める。米は研ぐ必要のない無洗米が便利。
3)みじん切りにしたタマネギ、細切れにした肉、ソーセージ、ベーコンの順に加えてさらに炒める。肉から出る脂やタマネギのエキスを米にしみ込ませるようにして丁寧に混ぜつつ炒めること。
4)細切れにしたパプリカを上に散らしてから、水出しして色と香りを出したサフラン液にコンソメを溶き全体に振りかける。材料がヒタヒタになるくらいにすること。足りなければ水を足す。
5)全体にブラックペッパーを振りかけた後、強火にして水が半分くらいになるまでフタをしないで炊く。
6)日本人はふっくら炊いた米を食べ慣れているので、後半はフタをして炊く。時々ニオイをかいで、軽いコゲのニオイがし始めたら火を弱める。火を弱めると同時にフタを取る(つまり、完全には蒸らさない)。米をパリッと仕上げたかったら最後までフタをしないで炊くといい。
7)完成!
8)食べるときには塩とレモンを絞ってから食べる。塩とレモンの量は各自の好みで調節する。自分の器によそってから自分でかけるのがいいだろう。
ワンポイント

・米がきちんと水に浸るようにテーブル、バーナー類の水平出しはきっちり行なうこと。野外で炊飯を行なうときにはこれが最も肝心なポイント 
・ベーコンはできればパック入りのものではなく、肉屋でしっかり燻製にしたものを買うこと
・パエリヤにはキノコやタケノコ、山菜など旬の食材を加えるとなおいい
・パエリヤなどの炊き込みご飯は具やダシのニオイのために焦げのニオイが分かりづらいので、こまめにニオイをかぐこと
・米をパリッと仕上げたければ、極力フタをしない
・逆にふっくら仕上げたければ、フタをする時間を長くする
・時々味見をして炊きあがりをチェックする
・オコゲをきれいにはがすには使い込んでしっかり油のしみこんだスキレットを使うこと

レシピ監修

鈴木アキラ

アウトドアライター。アウトドア雑誌やキャンピングカー雑誌、自動車雑誌等に寄稿。特に野外料理系の仕事が多い。アウトドアイベントの講師をはじめ、テレビやラジオの仕事も多く、ラジオ番組「電話子供相談室」の回答者にもなったりもするが、家にはテレビがない生活。
青森育ちでネイティブに東北弁を使いこなすほか、沖縄好きが高じてウチナーグチ(沖縄方言)もオバアと会話できるほどに。田舎のオバアチャンたちに郷土料理の作り方を教わるのが大好き。
「野外料理超簡単レシピ555」「キャンプで活躍! ナイフ・ナタ・斧の使い方」「これだけは知っておきたい サバイバル術食入門」「燻製&保存食作り入門」(いずれも山と渓谷社)など著書多数

今回使用した製品
  • スキレット 12インチ

    12インチ(外径30.5cm)の スキレット です。一般に販売されている鉄製のフライパンと違って、 スキレット は厚みがあるのでバラエティに富んだ焼き料理が可能です。使うほどに手入れが簡単になるので、家庭でも毎日使えます。 ※両手で持てるハンドル付き。

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  • スキレット カバー12インチ

    12インチ(外径30.5cm)スキレット 本体の内径に合わせて縁の付いた別売のフタです。裏面の突起は蒸発した水分が料理に落ちてうま味を逃さない工夫がしてあります。

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