ローストビーフ&ローストビーフサンドイッチ 鈴木アキラ レシピ監修

ローストチキンと並んで、「ダッチオーヴンで作りたい料理ベスト3」に入るであろうメニューが、このがローストビーフだ。上下から熱するオーヴン(オーブン)としての面目躍如と言える。

表面は焼けているのに中は赤く、しかも血がしたたりそうな色なのに生臭くない。「赤身なのに火が通っている」という一見矛盾した料理がローストビーフの最大の特徴だ。

冷めても美味しい肉料理というのは少ない。ハムなどはその典型だが、作るのには非常に時間と手間がかかる。野外で比較的簡単に作れて美味しく、様々な料理に使えるのがこのローストビーフだ。いくつかの守らなくてはいけないポイントがあるが、それを守りさえすれば決して難しい料理ではない。サンドイッチやサラダの具材としても最適だし、何よりもパーティ料理として押し出しがきく。

調理で気をつけなければいけないのが「焼き過ぎ」だ。慣れないうちはこまめにチェックすること。焼き過ぎるとローストビーフではなく、ただのデカい焼肉の塊になってしまう。

そしてさらに、ダッチオーヴンでローストビーフを作る際に気をつけたいのは肉の大きさ、特に「高さ」である。フタが閉まらないほど大きいと焦げてしまうからだ。その意味で、ローストビーフを作る際にはDeepモデルを選ぶことをオススメしたい。
材料
【ローストビーフ材料】
・牛モモ塊肉1~1.5kg
・塩大さじ2
・ブラックペッパー大さじ2
・サラダオイル大さじ2
・タマネギ大1個
・赤ワイン200cc
・ウスターソース大さじ1
・塩少々
・ポン酢醤油または醤油とワサビ
【ローストビーフサンドイッチ用材料(4人分)】
・ローストビーフ
・食パン1斤(8枚)もしくはパンドカンパーニュなどの大きな丸パン1個
・タマネギ1個
・レタス1/2個
・シャリアピンソース大さじ3~4
・粒マスタード大さじ3~4
作り方
1. 薪の火でチャコールブリケット(豆炭)に着火しておく。チムニーファイヤースターターという煙突状の道具に入れて着火するのもいい。
2. 肉には塩を振っておく。ダッチオーヴンを火にかけ、サラダオイルをひき、肉全体の表面をしっかりと焼き付ける。肉汁を封じ込める重要なポイントなので忘れないこと。
3. タマネギを厚めにスライスしてダッチオーヴンの底に敷く。このタマネギは肉を焦がさないようにするためと、グレイビーソースを作るためのもの。
4. 焼き付けた肉を乗せて蓋をし、上下から熱する。
5. 時々蓋を開けて焼き具合をチェック。
6. 金串を肉の中心部まで刺し込み、5秒置いて抜き取る。
7. 抜いた金串を下唇に当ててみて、温かったら出来上がり。冷たいのはさらに焼けばいいが、中まで熱かったら焼き過ぎ。くれぐれも焼き過ぎには注意。
8. ダッチオーヴンから出しアルミホイルで包み、最低30分寝かせて、冷ましてから切り分ける。熱いうちに切ると大事な肉汁が血として流れ出てしまう。
9. ダッチオーヴンが熱いうちに底に溜まった脂とタマネギの汁が渾然となったものに赤ワイン、ウスターソース、塩を加えてグレイビーソースを作る。グレイビーソース、ポン酢醤油、ワサビ醤油など好きなタレで食べる。僕はタバスコを加えたポン酢醤油派。

【ローストビーフサンドイッチの作り方】
1. ローストビーフは出来る限り薄切りにする。食べやすいように細かく切ってもいい。
2. タマネギをスライスして水にさらしておく。さらして辛みを抜いたら水気をしっかりと切っておく。辛みの少ない新タマネギならそのままでもいい。
3. ローストビーフにシャリアピンソースで味付ける。
4. スライスしたパンに粒マスタードを塗り、レタスを敷いたら、味付けしたローストビーフ、さらしたタマネギをはさんで出来上がり。
ワンポイント

【POINT】
・ダッチオーヴンでローストビーフを作るときの最大のポイントは焼きすぎないこと。慣れないうちは、金串を指して温度チェックをこまめに行なうこと。
・ダッチオーヴンと肉のサイズの関係も重要。壁面から肉までは、できれば握り拳1個分ほどのスペースが欲しい。また蓋からの距離も取りたいので、ダッチオーヴンは深型のタイプが望ましい。壁面や蓋と肉との間隔が足りないと肉が焦げてしまう。
・ローストビーフ用の肉はあまりサシ(脂肪分)の入っていない、柔らかい赤身肉が適している。安い赤身肉は硬いことも多いので注意が必要だ。できれば肉屋で「ローストビーフを作りたいのだけれど」と言って選んでもらうといい。
・すぐに切り分けたい気持ちも分からなくはないが、充分冷まして肉汁を中に固定させてからきり分けること。肉汁が流れ出すと肉がパサパサになってしまう。
・今回はダッチオーヴンで作ったが、スキレットで肉を転がしながら焼いても作ることができる。
・キャンプオーヴン12インチ Deepでチャコールブリケット(豆炭)を使用して中火にする時は、下火7~9個、上火12~14個が目安。火力が落ちたらチャコールブリケット表面の燃え切った部分を落とすと酸素が供給され、火力が回復する。

レシピ監修

鈴木アキラ

世界各地のおばあちゃんから、地元料理の作り方を教えてもらうのが大好きなアウトドアライター。
小学校低学年の頃から、タマネギを刻んでパスタソースを作るような凝り性であったが、今はとにかく「わかりやすい分量で、簡単に作れて美味いもの」しか、作りたくない野外料理人。
さらに「飲みながら作る料理が最高!」と思っている。「アウトドアで活躍! ナイフ・ナタ・斧の使い方」(山と渓谷社)をはじめとして、野外料理の著書も多数。

撮影
笠原 修一

今回使用した製品
  • キャンプオーヴン 12インチ Deep

    キャンプ用の脚付きのダッチオーヴンです。フタには炭を乗せられるようにふちが付いていてローストビーフやデザートの上火調整も可能です。12インチモデルより少し深くなってます。

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