チェンジングポトフ 鈴木アキラ レシピ監修

野外料理での失敗を不安に感じている人や、失敗してしまった人に言いたいこと「なぜ野外料理は失敗するのか」という問題の答えだが、それは非常に簡単だ。それは「風のある屋外で、作ったことのない料理を、使ったことのない道具で作るから」である。

ポトフはフランスの家庭料理で、日本では「洋風おでん」などとも呼ばれ、様々な野菜や肉を出汁で煮るだけ、という極めて簡単な料理だ。まず失敗する人はいないだろう。ポトフは野外料理において大事なこと「できるだけ簡単に作れること」にピッタリの料理と言える。

さらに野外では食べ切って帰ることが大切だ。特に汁物は持ち帰りがやっかいだ。「もし余ってしまっても翌日リメイクが可能」なものが望ましい。その典型がポトフだ。今回は余ったポトフをカレーとミネストローネに変身させている。カレーは「翌日のカレーが一番美味しい」と言われるが、しっかり煮込まれたポトフにカレー粉もしくはカレールウを加えるだけで、この「明日のカレー」が出来上がる。ミネストローネもポトフの具材を細かく刻んでトマトの水煮を足すだけで、味も見た目も全く異なる1品に仕立てることができる。

さて、鉄の地肌剥き出しの鋳鉄製ダッチオーヴンには数多くの長所があるが、残念ながら欠点もなくはない。「濡れたまま放っておくと錆びる」というのはその典型だが、その他に「作り置きをすると、鉄分が溶け出して鉄臭くなり、中の食材の色も真っ黒くなる」という点もある。せっかく作った料理が黒やグレーになってしまうのは悲しいし、ダッチオーヴン自体にも良くない。

その欠点を克服するために表面にホーロー加工が施されたモデルがエナメルダッチオーヴンだ。ホーローの耐熱温度制限のために、炭などの700度C近い高温になる熱源は使用できないものの、ガスやガソリンを燃料にした野外用調理器具や家庭のグリルで使う分には全く問題なく、作ったものを1晩置いても大丈夫だ。カレーなど、翌日の方が美味しいものにはピッタリだ。アメリカのダッチオーヴンのレシピ本を見ると、使っている鍋が全てホーロー加工されたモデルだったりする。アメリカではホーロー加工の施されているもの、施されていないものに関わらず、全ての鋳鉄製鍋をダッチオーヴンと呼んでいるようだ。

※下部の「関連レシピ」からアレンジレシピの「ポトフリメイクのミネストローネ」「ポトフリメイクのカレー」をご覧いただけます。

・ジャガイモ中6個

・ニンジン中2本

・タマネギ2個

・セロリ1本

・ウインナーソーセージ:2パック

・ベーコン2パック

・牛肉200g

・ローレル2～3枚

・ハーブミックス大さじ1

・ブラックペッパー小さじ1

・顆粒コンソメ大さじ2

・塩少々

1. ジャガイモはタワシやスポンジなどでしっかり洗って、皮はむかない。煮崩れを防ぐためもあるが、何よりゴミを減らすのが目的。その代わり毒性の高い芽はきちんと取る。

2. タマネギは両端を切り落として皮をむいたら、煮えやすいように両端に十字の切り込みを入れる。

3. ニンジンは両端を切り落として大まかに切る。ジャガイモ同様、皮はむかない。

4. ウインナーソーセージは斜めに切れ込みを入れておくと中のエキス分が出やすい。時間をかけて煮込むと皮は自然に裂けるので、切るのが面倒な人はそのままでもかまわない。

5. 大まかに切ったセロリなど、下準備をした食材をすべて鍋に入れ、ローレルやハーブミックスなどのハーブ類を加える。味と香りがグッと締まるので是非入れたい。

6. 水を加えて煮立たせ、沸騰したところでコンソメを加えて味付ける。ブラックペッパーや塩は素材が柔らかく煮えて味がなじむまで入れない。特に塩は最後の調整に少量ずつ足す。